<SRちゃんと同じぐらいおばあちゃんの思い出がいっぱい。>
中学2年の夏休みの始め、一緒に住んでいたおばあちゃんが天国に召されていった。まだ若かった。私がいつもSRをやっていると、
「そんな物で遊んでないで勉強しなさい!」
と怒ってばかりいた。しかし、たかをくくっていた私はいつもいうことを聞かず、困ったおばあちゃんはおじいちゃんに頼んで私を怒ってもらったりしていた。
さすがにおじいちゃんに怒られるとやめたが、おばあちゃんにとってSRは天敵だったはずだ。
うちの母親にも
「なぜあんなものを買ったんだ。勉強もしなくて時間ばっかり浪費して。」
と問い詰めたりもしていた。
中1の頃、RPGでは「ウィザードリィー」にはまっていた私は、当然時間を湯水のごとく使っていた。それが「レベルアップ」というご褒美で自分に帰って来ていた。それを私は楽しんでいたし、望んでいた。
だが、ある日事件は起きた。
その日も学校を帰るとすぐにSRちゃんの前に座り、レベルアップに励んでいた。するとまた「勉強しなさい」とのおばあちゃんの声。
おもわずうるさく感じた私は部屋の「カギ」をかけてしまった。
ドアを叩く音もいずれ消え、静かになったと思いきや、ドアをガンガン叩く音がヒートアップ!私のパーティーも戦闘中であぶない!
おそるおそるカギを開けると
「こんなものばっかりやっているから、いうこと聞かないんだ!」
と、持ってきたプラスチック製のカラーバットでSRちゃんと私を殴りつけるおばあちゃん。
泣き叫ぶわたし。
砕け散る「T」と「Y」と「5」のキー。
しばらくして静寂が訪れ、我にかえるおばあちゃんとわたし。
その後病気になり、最後はあまり苦しまずに、この世を去ったおばあちゃんの供養のために、「ワードナー」を改めて倒しに行ったのは、遠い夏の日の思い出です。 (つづく)