その5 アドベンチャーな日々@

 <少しさかのぼって小6の秋、和英辞書を持った小僧がディスプレイの前で大の字になっていた。>

 88のゲームの中で「アドベンチャー」というジャンルは私の心をがっちりつかんでいた。今までゲーセンでは、やったことの無いジャンルで(当然といえば当然)初期のものは今思えば、ただの言葉探しだったかもしれないが次の場面に進めたときの感動、解き終えたあとの達成感は何物にも変えがたいものであった。

 もちろんこれを読んでくださる方ならご存知であろうが、「デゼニランド」「ミオのミステリーアドベンチャー」など、古くは「ミステリーハウス」「表参道アドベンチャー」など英語入力のものがADVには多かった。当時アップル等の海外のほうが良質のゲームが多かったのでそういう風になったのであろうか。

 しかし、小6の私には有名なデゼニの棺の場面や、「南青山アドベンチャー」などわかる筈も無かった。しかし、辞書を片手に毎日悪戦苦闘していた。

 ここで勝手に検証。「TAKE」「LOOK」「ENTER」「BUY」など単語は覚えるが、「LOOK DOOR」など入力時の英語の文法的には当然おかしい。そのためか中学になって高校になっても、英語の成績がよくならなかった(いいわけ)。それを母は毎日英語の辞書を片手に真剣にキーボードを打つ小6の私を見て

    「将来どんな優秀な人になるのかしら?」

と期待していたらしい。そうりゃそうゆう風にみえるかもね。今では、しがないサラリーマンになりはてておりますが。

 話をもどして。そんな英語の言葉探しからだんだんと日本語入力のゲームがでてきた。「サラダの国のトマト姫」など英語、日本語どちらもOKというのも、発売されていた。そのなかでも日本語入力のADVでとても思い入れがあるのは、バンダイの「サザンクロス」であった。
 画面の描写速度も速く、最初のUFOを呼ぶ場面で、もうすでに虜になっていた。最後のほうは夜も寝られず、布団の中で

「あ、こうすれば進めるかも」
と、夜中起きだし怒られながら、ゲームの続きをやったりしていた。解いたときは物凄く感動した。個人的にバンダイのADVにはその後も期待したのだが、さっぱりであった。

 実は日常でもADVの世界に染まっていた。学校のテストの前に

「ここでセーブゲームだ。結果が良くなければあとでリストアゲーム(スタークラフト風)をしよう。」

とか、「机の中から、TAKE NOTE。おや机の奥に昨日の給食の残した食パン発見!SEARCH BREAD。よし、カビはないようだ!」

など一人心の中でしゃべっていた。今考えると、ちょっとイっちゃってる子供であった事は事実である。  (つづく)

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