その2 SRちゃんとコピーちゃん

 <SRちゃんが我が家にきてから、3日が過ぎた。完全に私の部屋はゲーム部屋になっていた。>

 母親がSRと一緒に買ってくれたソフトがあった。「アステカ」という出たばかりのゲームらしい。店員にFalcomのゲームは面白いからと勧められたらしい。ほとんど寝ないでやっていた。
 クリアしてしまった。デモも見飽きた。ベーマガのプログラムを打ち込んだ。遊んだ。飽きた。他のゲームもやりたい。

 そして、SRが来て3日目。母親が、5インチディスクが山のように入った、プラスティックの収納ケースを運んできた。なんでも、知り合いにコンピュータに詳しい人がいてゲームをコピーしてもらってきたということだ。その時点で、何か悪いことをしている気はしていた。だが小学生だった私には、倫理観よりも目の前の山のようなゲームたちを楽しむのが先決だった。

 ほとんどが、8801/mkUのゲームだったが、学校そっちのけでゲームをしていた。当然3時半ごろには家でSRちゃんに向かっていた。デゼニ・サラトマ・惑星メフィウスなどのADVから、ちゃっくん・アルフォス・ドアドアなどのACTまで、次から次へとディスクを入れ替えクリアしていった。もちろんベーマガ・山下章さんの助けも得てだが。

 そうこうするうちに、1枚のゲームディスクにめぐり合った。なんだか今までやっていたゲームとは違うようだ。キャラクターをつくってゲームをやるらしい。なんだかめんどくさい。コピーなので説明書もないので、よくわからない。よし、後回しにしよう。

 「ブラックオニキス」と書いてある、あまり気にも留めなかったディスクはケースの奥に追いやられた。小6の大半の時間を費やすこととなる本格RPGとの真の出会いは、もう少し先になった。(つづく)

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